3月6日(木)12:05〜12:55
教育現場における正課外活動としての運動部活動の未来
筑波大学 体育・スポーツ局
概要
本ランチョンセミナーでは「教育現場における正課外活動としての運動部活動の未来」を考える上で、大人の視点や都合だけでなく、児童や学生たち自身にとって“本当に良いバランス”とは何かを問い直すことで、新たな時代にふさわしい運動部活動の在り方を探る機会としたい。前半では、筑波大学体育スポーツ局助教 稲垣和希が、中学生年代における部活動改革の現状や事例紹介とともに、小中学生におけるマルチスポーツ政策の背景や意義を解説する。スポーツ庁が推進する「複数の種目を幅広く経験する機会を提供する」取り組みには、早期の専門化による弊害を緩和し、バランスの取れたスポーツ経験の多様化による豊かな運動スキルや社会関係を構築する機会を提供する狙いがある。また、中学校の部活動が地域クラブへ移行する政策との関連を示しながら、指導体制や地域社会との連携といった多面的な課題と可能性を論じる。後半では、筑波大学体育系助教 松尾博一が、大学における正課外活動をめぐる現状と課題を概観する。競技と学業、さらには社会との関わりのバランスをどう整えるかは、大学スポーツの重要なテーマとなっている。高度な競技力の追求と学業に取り組む時間の確保を両立するためのサポート体制づくりや、そのための経済的な循環をどのように行っていくかなど、多面的に課題を提示しつつ、学生たちにとってより良いバランスを模索するための観点を提案する。子どもから大学生までの運動部活動を俯瞰し、学びとスポーツ、そして地域社会との調和を考え直すこのセミナーが、より豊かな教育現場における正課外活動としての運動部活動の未来を生み出す一助となることを期待している。

登壇者:稲垣 和希(筑波大学体育スポーツ局)
経歴:2024年〜筑波大学体育スポーツ局助教
兼スポーツエデュケーション部門長補佐

登壇者:松尾 博一(筑波大学体育系)
経歴:2019年〜筑波大学体育系助教
兼スポーツエデュケーション部門長補佐
3月7日(金)12:00〜12:50
AIを活用したデジタル×コーチングの未来
Aruga株式会社
概要
スポーツの現場において「コーチング学」は、選手の成長や成果の向上を支える学問として発展してきました。その研究知見は指導の現場で活用され、実践との相互作用を通じてさらなる深化が期待されています。一方で、近年の急速な技術革新、とりわけAIやデジタルツールの普及は、従来のコーチングに新たな可能性をもたらすと同時に、指導の在り方に変革を促しています。
本セミナーでは、デジタル技術がスポーツ指導にもたらす影響と可能性について考察します。特に、選手の目標設定や振り返りを支援するためのデジタルツールの導入事例を交えながら、それらが選手の主体性をどのように引き出し、育むことができるのかを探ります。また、AIを活用したフィードバックの仕組みについて具体的な事例をもとに、新たなアプローチを提案します。
さらに、AIとコーチの役割の棲み分けについても議論します。AIはデータの分析やパターン認識を得意とし、客観的で効率的なフィードバックを提供する一方で、選手の感情やモチベーションを察する能力には限界があります。一方で、コーチは選手との信頼関係を築き、目標に向けて共に歩む伴走者として、AIでは補えない「共感」や「直感」を活かしたサポートを提供する役割を担います。本セミナーでは、AIの強みを最大限に活用しつつ、コーチの役割をどのように補完していくかについて具体的なアイデアを共有します。
本セミナーが、コーチング学における研究知見と実践の連携を再考する機会となり、未来のスポーツ指導に新たな視点を提供する場となれば幸いです。デジタル×コーチングの可能性を共に探求し、選手の成長を支える新たな手法を提案させていただきます。

登壇者:下園 良太(Aruga株式会社)
経歴:1994年生まれ。2021年筑波大学大学院コンピュータサイエンス専攻修了。スポーツxITをテーマに10年活動。現在はデジタル版練習ノートBuildを運営するAruga株式会社代表取締役。選手の考える力を育む。教育的な指導者を支援する。をミッションに活動中。
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