コーチング学に関する研究の現在地
~10年前に思い描いていた現在。そして,いま創造する10年後の未来。~
登壇者:會田 宏(筑波大学)
コーディネーター:苅山 靖(山梨学院大学)
講演概要
2015年、日本コーチング学会と日本体育学会体育方法専門領域が統合された。正確には、日本コーチング学会が創設母体であった体育方法専門領域の事業を取り込み、35年ぶりに再統合した形である。再統合に至るまでの数年間、両組織内で度重なるシンポジウムが開催され、「コーチングとは何か」「コーチング学とは何か」「コーチングに関する研究はどうあるべきか」といったテーマについて真剣な議論が繰り返された。これらの議論は、コーチングの本質やその学問的基盤を再確認し、未来に向けた方向性を模索する重要な機会となった。あれから10年が経ち、今、私たちはその時に思い描いていた未来を築けているだろうか。
これからの10年では、ジェンダーや文化の多様性を尊重したコーチング、AIと人間の協働による高度なトレーニング、そして個々の選手の能力を最大限に引き出す個別最適化アプローチが実践されると予想される。コーチング学は、新たに現れるこれらの現象を説明し、予想し、制御する理論体系としての役割を果たし続けることができるのか。それとも、エビデンスを十分に創出できず、やがて「古典」として学ばれる教養にとどまってしまうのだろうか。
2025年、日本体育・スポーツ・健康学会における専門領域の名称が「体育方法」から「コーチング学」へと変更される。この変更は「コーチング学」がスポーツのトレーニング(練習)と指導に関する理論を体系化する使命を担うことを名実ともに示すものである。その節目となる年の基調講演では、まずコーチング学に関する研究の現在地を確認するために、我が国のコーチング学を進化させてきた理念や使命感を改めて紹介し、進化の過程を振り返る。そして、10年後のコーチング学を展望し、その実現に向けて、コーチング学に関する研究はどうあるべきかを示す。
講演者経歴
2013年~ 筑波大学体育系教授
2023年〜 日本コーチング学会理事長
代表著書・論文等
- 競技スポーツにおけるコーチング・トレーニングの将来展望-実践と研究の場における知と技の好循環を求めて(2021)筑波大学出版会.編著.
- 球技のコーチング学(2019)大修館書店.編著.
- 体育・スポーツ分野における実践研究の考え方と論文の書き方(2018)市村出版.共著.
- コーチング学への招待(2017)大修館書店.共著.
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